
水いぼは、小さなお子さんによく見られるウイルス性の「いぼ」です。正式には「伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)」といいますが、見た目が小さな水滴のようないぼであることから「水いぼ」という名前が定着したと言われています。主に肌と肌との接触でうつります。
水いぼそのものは重い病気ではありませんが、数が増えると煩わしいものですし、家族や友達への感染源にもなりえます。お子さんにとって身体的・心理的負担の少ない最適な方法で治療を進めていきましょう。
対処法
① 摘除
数が少ないうちは、ピンセットのような専用の器具で1つ1つ取り除くことが可能です。痛みを伴いやすい処置のため、痛み止めの薬を貼付後に行うことが望ましいです。
摘除のメリットはその場でウイルスを除去できるために治りが早く、周囲への感染を減らせることにありますが、デメリットはお子さんの痛みや恐怖の負担がある点です。トラウマになる可能性もありますので、お子さんの性格や年齢を考慮して無理のない範囲で行うことが大切です。水いぼは数週間の潜伏期があるため摘除を行ってもまた新規の皮疹が出現してくることがあり、摘除は数回かかることが多いです。
② 経過観察
ほとんどの場合、水いぼは免疫がついて自然に治ります。個人差はありますが、半年〜1年、長くても2〜3年以内と言われています。そのためお子さんが摘除を怖がる場合などには、無理に処置をせず様子を見るのも立派な選択肢の1つです。ただし、経過観察をしているあいだに水いぼが増えてしまう可能性はありますし、家族や友達にうつしたりしないような工夫が望まれます。
③ 外用薬(m-BFクリーム)
「痛みを伴う処置はしたくないけど、なにもしないのもちょっと・・・」という方には外用薬という手もあります。痛みなく自宅で治療を進められ、個人差はあるものの、おおよそ8割の方が平均2〜3ヶ月で改善するとされています。ただし、大規模な二重盲検試験は実施されていない外用薬であることと、現状では保険適用のないことに留意が必要です。ご希望の際はまず診察におこしください。
価格 2,200円(税込)
子どもの5〜10%程度が水いぼを経験するとされています。特に集団生活をする園児や学童では日常的によく見かける皮膚皮膚トラブルの一つです。
お子さんに水いぼが多い理由としては、免疫がまだ十分に発達していないことが挙げられます。特に元々アトピー持ちで皮膚のバリア機能が弱かったり乾燥肌であったりする子は、水いぼに感染しやすい傾向があります。
また、お子さん同士で一緒に遊ぶ際に接触の機会が多くなりやすいことも感染が広がってしまう一因と考えられます。
水いぼ自体は自覚症状のないものです。
ただし、周囲に湿疹を生じかゆくなったり、掻き壊して傷になると二次感染(とびひ)を起こすことがあります。
現在では水いぼがあってもプールに入って構わないというのが通説です。
感染経路は主に接触感染です。水そのものを介した感染はほぼ起こらないと考えられており、特にプールの塩素消毒された水の中では感染力を失うとされています。
厚生労働省の見解でも「水いぼがあってもプールは差し支えない」とされており、必要以上に制限する必要はないとされています。
一方で、子ども同士が密着したり、ビート板やタオルを共用したりするなど水以外の場面で感染が広がる可能性があります。そのため、直接の肌の接触や物の共有を避ける工夫が大切となります。
例えばですが、できるだけ接触を避ける、水いぼの部分を防水テープなどで覆ってから入水する、タオルなどの物を共有しないといった配慮が望まれます。
水いぼそのものは跡に残ることはほとんどありません。
摘除した後も、小さな傷が一時的に赤くなる程度で、数週間〜数ヶ月すれば目立たなくなります。
ただし、強く掻き壊してしまったり、二次感染を起こしてしまった部分は色素沈着(シミのような跡)がしばらく残ることはありえます。
○ 掻かせない工夫:水いぼを引っ掻くと自分自身の別の場所にもうつしてしまうため、なるべく掻かないよう言い聞かせることが重要です。同時に爪を短く切り清潔にしておくことも有用です。また、小さいお子さんの場合は、就寝時にミトンや手袋をしたり、患部に絆創膏を貼るという対策も有効です。
○ 清潔と保湿を心がける:お子さんの肌を清潔に保つことも予防になります。帰宅後にシャワーで汗を流す、石鹸で優しく洗うなど基本的な衛生を徹底しましょう。また、肌の乾燥を防ぐために保湿剤をしっかり塗ることも有用で、ウイルスが入り込みにくくなります。
○ 直接肌を触れ合わせない工夫をする:水いぼがある部分を出来るだけ衣服で覆うようにします。プールの際にはラッシュガードを着せたり、寝るときは長袖長ズボンのパジャマを着るなど、肌と肌の接触を避ける工夫が◎です。
○ タオルなどの共有は避ける:お風呂やプールの後に使うタオルは家族で共有せず、一人ひとり別のものを使用します。また、入浴時に使うボディスポンジやプールで使う浮き輪なども共有しないほうが安全です。